皆さん、こんにちは。関目やまもと糖尿病内科 院長の山本裕一です☆
今回は1型糖尿病とインスリンポンプ療法(CSII)やSAP療法について、少しお話させていただきたいと思います。
1型糖尿病患者に対する思い
1型糖尿病というと、いまだに『子供の頃、もしくは思春期にかかるもの?』というイメージが強いかもしれません。しかし実は大人になってから、あるいはご高齢になられてからでも、1型糖尿病を発症することが、しばしばあるのです。成人期以降に1型糖尿病を発症された場合は、今まで当たり前のように出来ていた生活を大きく変更する必要がでてきます。そのため、なかなか1型糖尿病という病気になった(もちろん、何か悪いことをしたから1型糖尿病になったわけでは、決してありませんから…)という現実を受け入れられない方も多く、治療を無理なく続けていただくためには、細やかなインスリンの調整に加えて、心理的にサポートさせていただくことも非常に大切になってきます。
現在当院では、1型糖尿病で、インスリン頻回注射されている方、またインスリンポンプ療法(CSII)やSAP療法を行っている方に対して、チーム医療(医師・糖尿病看護認定看護師・管理栄養士)でサポートをさせていただいています。
具体的には、医師の診察の前に、糖尿病看護認定看護師や管理栄養士の手で、日々の血糖測定やSAP療法のデータをパソコンに取り込み、家での血糖変動の状況を把握し、生活習慣(仕事の日と休みの日との血糖変動の違い)や食習慣のチェック、カーボカウント指導(ある食事に対して、どれくらいのインスリンが必要なのか)、またちょっとしたことでも悩んでおられることがないのかなどを、患者様と一緒に振り返りながら、お話しさせていただいております。その後、医師の診察で、次回の外来までの方針を考えていきます。
インスリンポンプ療法(CSII)とは
インスリン分泌の枯渇した1型糖尿病では、基礎のインスリン分泌が失われており、これが夜間から明け方にかけて血糖値の上昇(暁現象)を引き起こしたり、眠前に中間型や持効型インスリン注射する方法では夜間の低血糖、その後の高血糖を引き起こしたりする可能性があります(ソモジー効果)。
こういった不安定な血糖コントロ-ルを引き起こす基礎インスリン分泌の調節を、インスリンポンプ療法(CSII)では、超速効型インスリンを小型のインスリンポンプからほんの少しずつ持続的に皮下に注入することで、より個々人にあった基礎インスリンの補充を可能とし、血糖コントロールの安定化をもたらします。
(時間あたりの基礎インスリンの注入量を、インスリンポンプ本体に医師の手によって予めプログラムいたします。)
(ミニメド 日本語対応インスリンポンプ)
SAP療法(Sensor Augmented Pump療法)とは
インスリンポンプに加えて、リアルタイム CGMセンサー(①,②)というセンサーを、体につけておくことにより、インスリンポンプ本体(③)に血糖値の目安となるセンサグルコース値が常時表示されます(上記の写真が装着した時のイメージです)。
自身のセンサグルコース値が常時画面に表示されるため、インスリン注入量(追加インスリンや基礎インスリン)の設定・調節が容易にできます。さらに設定したセンサグルコース値の範囲を超えた場合に、インスリンポンプ本体がアラームや振動で警告してくれます(もし、夜中寝ているときに低血糖になっても高血糖になってもポンプが教えてくれるので安心です)。最新のSAP療法(640Gや770Gシステム)は、センサグルコース値変動から低血糖を予測し、自動的に基礎インスリン注入を停止することで低血糖を予防する機能をもっています。
★まとめ★
当院では、現在国内で使用できるインスリンポンプ・リアルタイムCGMセンサーとしては、最新の770Gシステムを導入しており、今月は5名の1型糖尿病の方で、770Gシステムのインスリンポンプへの変更をさせていただきました。
1型糖尿病でお悩みの方や、インスリンポンプ療法に、ご興味がある1型糖尿病の患者様には、ぜひ一度当院までご来院いただき、色々と相談させていただければと思います。
スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております♪